2018年6月10日日曜日

【いまさら聞けない?ハーレーの基本取り扱い(プラグ編)】

久しぶりにマジメなバイクネタになりましたこのコーナー。
ちょうど1週間ほど前にUPした前回は『エンジンの始動方法』。

キャリアの豊富なオーナーならいつも普通にしていることながら、よくある質問として『季節の変わり目でプラグがカブリやすい』とか、『毎日エンジンをかけているのにかかりが悪くなる』などの素朴な疑問を持ってる方もしばしば。

前回はその基本的な考え方からチョークを使用したエンジンのかけ方を掲載しました。前回のおさらいとしては、理想的なエンジンのかけ方のコツはその時々の気温とエンジンの温度によってガソリンの揮発量が変わることを理解する。使用しているキャブレターやセッティング状態に合った始動方法を覚えるでした。また、長期的なエンジン保護という観点から始動直後の回転数を極力抑え、ドライな状態のエンジンにしっかりとオイルを回し潤滑させる。そんなことも意識して取り扱うと愛車に対してカラダにいいことをしている楽しみも生まれるかもしれません。

と、いうことで今日は前回のお話の続きとしての、
『スパークプラグのお話』。


お馴染み、ハーレーのハートに火を付ける“スパークプラグ”
画像はTCエンジン以降&XLモデル用。

先端の電極がスパークしエンジンを起爆させる源。

【マメ知識】
スパークプラグは消耗品です。長期間使用することによる老朽や、走行状態により電極先端が汚れることによりエンジンの点火不良や始動不良の原因となります。キャブレターモデルの場合、キャブレターのメンテナンスコンディションやキャブセッティングが良好でなかったり、誤った取り扱いを行った場合には予期せず交換や清掃を必要とする場合があります。また、プラグが汚れにくいとされるインジェクションモデルにおいてもメーカーでは6ヶ月毎の点検推奨箇所として定めており、最低12ヶ月毎での点検および交換をお勧めいたします。

前回のエンジン始動についてもそうですが、注意事項のさわりだけを読むと、
『キャブレターモデルはインジェクションモデルよりも取り扱いが難しそう・・』
なんて印象を与えてしまいそうですが、取り扱い方法のポイントや、その原理を楽しみながら理解するだけでインジェクションモデルよりも難しいなんて誤解は解けてしまうでしょう。なにせ、キャブレターモデルがインジェクションモデルへと完全に切り替わる2007年頃以前は、“免許取り立て” “初バイク” なんて方がみんなキャブモデルに乗り始めてたワケですので。

さて、いよいよ本題。
はじめにプラグが『カブる』とは?


【画像 カブったプラグ】

スパークする先端の電極部に煤(カーボン)が付着しています。この汚れが一定以上に達したり、余剰なガソリンでビショビショに濡れたりすると電気がリークし適正な火が飛ばなくなります。これがカブるです。

プラグがカブる原因はいくつかあります。
(キャブレターセッティングなど車体メンテが整ってる場合での原因例)

・エンジン始動時に余剰なガソリンを与えている場合(外気温とエンジン温度に対してのチョークの引いている時間や量が長い、加速ポンプの添加量が多い)
・空吹かしやスロットルの開閉を多用した場合(不要な加速ポンプによる燃料添加)
・極端に暖気時間が長い場合
・極端に低速で走行した場合、また速度に合わないハイギヤを使用し低回転で走行した場合
・エンジンをかけても乗らない、または極めて短距離の走行を習慣的に繰り返した場合
・弱いバッテリーで無理にエンジンをかけた場合
・プラグ交換をいつしたか覚えてない場合

これらは、全て1度きりの動作で症状が発生するとは限りません。ヨゴレはチリツモというワケです。

上記以外にも原因例はありますが、この一例は日常の取り扱いで起こり得る内容です。逆に上記の取り扱いを変えるとリスクが減るというワケですね。

【もしプラグがカブったら?】
スパークプラグは消耗品ですので理想は交換です。万が一スペアの持ち合わせがない場合はプラグ先端を真鍮製ブラシで清掃し対処しますが応急作業とお考えください。




では、最後に冒頭にも書きましたよくあるご質問の応答を載せます。

・季節の変わり目でプラグがカブリやすい
これに対しては、例えば気温が急激に高くなる夏にかけてこんな症状が起こる場合、チョークの引く時間や量を抑えてみる。また、始動前にスロットルをひねる加速ポンプの量(回数)を抑えてみる。などで改善できるかもしれません。気温の高い夏季は気温が低い時期と比べ燃料の揮発量が上がりますので気温の低い時期と同じ取り扱いをおこなうと、燃料の過剰供給となってプラグが汚れやすい状態となることがあるからです。また、余剰な燃料供給を避けるためには、始動時にマフラーから排気される煙の色を見て参考にしても良いでしょう。黒い煙が大量にドバっと排出される場合は余剰な燃料によりくすぶり易い状態と言えます。

・毎日エンジンをかけているのにエンジンのかかりが悪くなる
忙しくて乗れない時はエンジンだけはかけている。なんて話を聞くこともあるかと思います。これもプラグのカブる大きな原因となり得ます。車種に適合したスパークプラグを使用していることが前提ですが、プラグには自己洗浄温度と呼ばれる一定温度以上に達すると付着したカーボンが焼き切れるという構造をもっています。エンジンをかけても走行しない、または、近所を数分クルっとまわっただけなんてことを繰り返すとカーボンが焼き切れることなく堆積してしまうことがイメージできますでしょう。厳密には一定の走行時間も必要となりますが、一定以上の速度(エンジン回転数)も関係いたします。

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【NGK プラグスタジオ (プラグのくすぶり)】
http://www.ngk-sparkplugs.jp/products/sparkplugs/basic/05_02.html

【NGK プラグスタジオ (プラグの交換目安)】
http://www.ngk-sparkplugs.jp/products/sparkplugs/basic/05_01.html


NGKスパークプラグは当店の推奨取り扱いメーカーです。


さて、前回に増してエキサイトしました。文章にすると一定のボリュームとなりましたが要は適正な取り扱いに慣れることで難しいことではありません。

ちなみに、私の所有ハーレーもキャブレターモデルです。必要に迫られて路上でプラグ交換をすることはまずありませんが、ロングツーリング前などのタイミングで年に2度ほど交換をして楽しんでいます。

☆ ご参考なまでに ☆


ベガス本店 
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