ベガス本店ショールームです♫
今年も冬がやってきました!
標題のとおりバッテリー上がりが起こりやすい時期です。
毎年のことながら、そのメカニズムと対策について触れてゆきます☆
当店ではお馴染みの『バッテリーをメンテナンスしましょう』的なポスターです。
大排気量&トルクエンジンのバイク全般のバッテリーは、箇条書きの1~4にあるように通年を通してバッテリーが酷使されていますが、特に冬は5箇条目の
『冬は低電圧化とオイル粘度硬化によるロス』
がダブルで重なりで脅威となりバッテリーが上がる確率が高くなります。
では、その対策とは?!
①『バッテリーを定期交換する』
いきなり根本論ではございますが、古いバッテリーが力尽きるタイミングが冬の悪条件に合致する場合が多数です。バッテリーメーカーが公表する交換推奨時期は一般的には『新品使用から2~3年』ですが、実際に『上がり』が起こる年数は、バイクの使用状況や保管環境により異なります。ベテランオーナーの中には、過去の経験から例え異変が起きていなくても交換する時期を選定している方もおられます。
②『メンテナンス機能付き専用充電器による定期的な補充電メンテナンスの実施』
ハーレー純正バッテリーを含む『AGM』バッテリーはその特殊構造により従来の補液タイプバッテリーに比べ長寿命、つまりバッテリー上がりをしにくい反面、バッテリーレベルが大きく下がると回復しにくいと言われております。イメージとしては定期メンテナンスを行わないバッテリーは容量の天井が徐々に下がってゆき、そこで久しく充電メンテナンスを行っても元の高さの天井位置までは戻ってくれないという図式です。対して、比較的早期より定期的な充電メンテナンスを行っておけば、その天井の昇降が平均的に保たれます。これがバッテリーの長寿命化に繋がり、強いては冬場の上がりを防ぐ1対策となります。
③『エンジン始動時の“タメの音”に注意を』
家庭では後に触れる『専用テスター』などの機材をお持ちでない方がほとんどです。もしこれからの冬、エンジン始動時にセルスターターを回した時に『グッ』と一瞬 “溜め” のような音がしたり、セルスターターの回転音があきらかに弱いと感じた場合は要注意。上記に挙げたバッテリーの使用年数やメンテナンス実施の有無を踏まえた上でショップに相談しておくのが◎です。
④『ショップにて専用テスターを使用した点検を実施する』
現在その点検実施中...
エンジンがかからずともそのキャリアを駆使して様々なトラブルシューティングを実施した結果、レッカー入庫されたFオーナーのバッドボーイ。個人的には自分でイロイロ調べて試してみたオーナーのガッツには敬意を表しますw
手順としてはまず、バッテリーを満充電いたします。
バッテリーが上がった状態や充電直後では正しく測定できません。走行したばかりの状態もダメです。
そして、測定には高額な専用テスターを使用します。
通常のデジタルテスターでも電圧と電流値の測定は可能ですが、この専用テスターはバッテリーの寿命値として使用される『CCA』という数値を測定することができる超お高いテスター機です。おそらくご家庭にはありません。
まず、電圧値を測定...
バッテリーを満充電したことでひとまずエンジンはかかりました。
しかし、この後安定せず走行にまで至らなかったというオーナーからの情報...
負荷がかかり落ち込む始動時の電圧 → 始動後一定回転数においての電圧
の順で計測します。
画面には充電状態を示す電圧測定値が表示されています。
『80%』...
数値から悲観するような印象は受けません。
...が!
ここからがプロによる電気診断作業の真骨頂!!
例のCCA値を測定すると...
なんと『0%』!!
この結果をプリントアウトしてみます。
ムムー!!
思わず押し入れに隠してしまいそうな通知表が出てきました☆
オーナーから得た情報にあった、エンジン始動しながらも安定に至らなかったこと、充電しながらあれこれ試してみるもののすぐに何度もバッテリーが弱くなってしまったことの原因がこの通知表に記されておりました!
今回のトラブルの根本原因はバッテリー寿命としたいところでしたが、さらに深いの原因としてはバッテリー本体がノーブランドの社外品であったこととなりそうです。
ノーブランドの社外バッテリーはネットで格安で売られているらしいのですが、オーナーが自分でそれに交換したことによるバッテリートラブルが年々増加しております。
ちなみに、当店が推奨するバッテリーはH-D純正と一部ブランド社外バッテリーのみ。車種によっては純正バッテリーのみを推奨としておりますので純正が無難。
さて、気になる『CCA』のお話は次回。
代わりになぜに純正バッテリーを奨めるのかという過去記事を抜粋してペーストしておきます☆
【なぜ純正バッテリーを奨めるのか】
結論から申し上げると『中身』と『端子』が、高耐久および耐震構造であるからです。
まずは、中身の秘密。ハーレー純正バッテリーは他の密閉型MFバッテリーと異なり『AGM』と呼ばれるグラスマットに充電液を染みこませた構造となっております。その他内部は各部に耐震構造が設けられ、振動による衰弱化対策と、高トルクエンジンをクランキングさせるための出力を保持する耐久性が備わっています。
もうひとつのヒミツ。バッテリーターミナルと呼ばれる接続端子。
ご覧のように、H-D純正バッテリーの端子部はブロック状をしております。
この端子形状は振動の多いハーレーにとってキモとなるポイントで、パテント取得に含まれています。
・振動に耐えうるだけのトルクをかけ締めることができる。(緩み防止)
・高トルクで締められるので端子とケーブルの密着性が高まり、大排気量エンジンをクランキングする際にかかる発熱やショートのリスクを下げられる。
当店にてバッテリー交換や端子部の増し締めをする際は、規定トルクが掛けられるプロ用のレンチを使用し、きっと皆様が思っているよりも相当に強く締めつけております。
車載工具に入ってるこんな短いレンチで締めたらダメです。
これは車載工具なので応急処置くらいにしか使えません。
ちなみに、汎用バッテリーの端子を比べて見てみると...
H-D純正バッテリーのようにブロック状の塊ではなくワクのような形状です。純正端子同等のトルクがかけられないことによる緩みや振動による端子破損などのリスクが残ってしましまいます。※画像の端子では、すでに端子右奥にクラックらしき亀裂が確認できます。
バッテリー端子、緩んだらどうなるのか?
・接触不良により端子部のショートが起こる
・ショートにより端子が熱を持ち最悪溶解する
・少しでも溶けてしまうと端子接合面の密着性を失い、まだ本体が生きていても廃棄するハメに
・旧車などの場合、ショートに連動して点火系統の装置が故障する
当店データによると、ご家庭の車庫に差込み電源(コンセント)がなく、充電の都度バッテリーを外さないとならない環境の方など、ご自身でバッテリーの着脱をおこなう場合に緩みが発生している率が高いことも現実です。
また、緩みの初期段階ではこんな症状がサインとなることがあります。
・セルスタートによるエンジン始動時。はじめにイグニッションスイッチをONにするといつも通りライトやインジケータ類が点灯するが...、セルスターターを押した瞬間、全ての電源がバチンと落ちる。(お部屋のブレーカーが落ちるみたいな感覚)
もう一度やり直すと、同じくライト類は点灯するけどやはりセルを押すと電源が落ちる。を繰り返す。
・走行時、点火不良が起こったようにエンジンが不調になり、まともに走れない。時にはマフラーから爆竹を鳴らしたような大きな音を連続で発します。
こんな症状が突発的に発生した場合、バッテリー端子の増し締めが可能な工具類を車載していた場合、復帰できるかも。早期発見の場合に限りますが。
【なぜ純正バッテリーを奨めるのか】おわり
つづく
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