2021年10月14日木曜日

【『NAGバルブ』が気付かせてくれた、ハーレーブリーザーシステムの遷移】

今日はいつもより少しマジメな研究系のネタ☆


 

1992年式FLHTPのSオーナー☆


いわゆる初期型エボリューション。


初期エボって聞くとド初期の4速エボをイメージする人もいるかもです。それも正しいケド、マニアですねw


エボリューションエンジンの歴史的には93年以降ブリーザーシステムの変更がなされたことがキャッチーな出来事でそれ以前年式が初期型と呼ばれることがしばしば。


今回はそのキャッチーなはずの事実、エボリューションのブリーザーシステムの変更について、さらに深く掘り下げるきっかけをベガスでは話題沸騰中の『NAGバルブ』が紐解いてくれました☆


今回NAGバルブ取り付けオーダーをいただいたSオーナーの取り付け済み画像...



ベガスではよく見る光景ですね...。


ヘッドブリーザーからNAGバルブへの取り回し...


...って1992年以前はクランクケース直結ブリーザーではないのですかっ?!


...ミステリーを探るようなキモチでオイルポンプ裏側のクランクケースブリーザーを見てみると...


こっちにもブリーザーラインが出ているではありませんか!!

画像ではちょっとわかりにくいカモですが、このクランクケースブリーザーからのルートも上方にホースを引っ張りNAGバルブに接続しております☆...じつはコレがミソなのだからw


...っとちょっとムリに劇的な展開を演出してしまいましたが、この1992年式エボリューションは知る人ぞ知る、ヘッド、クランクケース共にブリーザールートを持つ『ダブルブリーザーシステム』なのです!ダブルエントリーシステムではありませんw


このことは一体ナニを意味しているのか?!


万が一話題についていけない読者のために、

そもそもブリーザーシステムが排出する『ブローバイガス』とは?!


出典:NAG S.E.D. HP資料から


さすがはNAGの資料!シッカリ、ブローバイガスが何なのかというところからNAGバルブの有用性を説いているところもサスガですが、ブローバイガスとは資料にもあるようにエンジンの燃焼行程により燃焼室からクランクケースに吹き抜けたガス(気体)のコト。


少し話が膨らみますが、この吹き抜けたガスがクランクケース内のエンジンオイルに混じってしまうことが『ブローバイ希釈』と言われ、国内オイルメーカーのWAKO'Sその他オイルメーカーが、エンジンオイルを定期交換しなければならない劣化原因No.1としています☆


つまり、クランクケースの圧力放出と同時に、理想的には吹き抜けて欲しくないケドどうしても吹き抜けてしまうブローバイガスを分離して排出処理する構造がブリーザーシステムです。


画像は現在トランスミッションを下ろしているAオーナーのショベルから拝借したクランクケースからのブリーザー取り出し。ちょっとホースに隠れていますがすでにNAGバルブが取り付けされているのが解りますでしょうか?


コレが93年以前年式採用の『クランクケースブリーザー』。


ここで、忘れないウチにNAGバルブ取り付けに関する大切なコトをお伝えしておきますが...


『クランクケースブローバイ車輌はヘッドブローバイ車輌に比べNAGバルブ取り付けによる効果が大きい』ということ☆

※コレはこのあと説明する93年式以降ヘッドブローバイの構造を知ると納得できます☆



パーツリストだとこの部分。(右側がカムカバー側)

92年以前モデルは、ここから出ているブリーザーホースから時々オイルが吹きますよね?ましてや、久々にエンジンを掛けたりするとビックリするくらいのオイルが床に出ちゃって、雑巾を何枚も使って掃除したことのある方も多いコトでしょう♪


この現象は、カンタンに言うと排出すべきブローバイガスにクランクケース内のエンジンオイルがつられて出てきちゃっているワケです。


もっと突っ込んで言えば、同年式帯のクランクケース内には『ブローバイ室』なる個室が設けられており、排出すべきブローバイガス(気体)と出来たら出て行って欲しくないオイルをここで分離する構造となっております。...が、出ちゃうのです♥


レーサーとかだと車体のリア側までホースを引っ張ってそれを貯めておくためのキャッチタンクをつけているの見たことありますよね?ナットク☆


一方、93年式以降採用が『ヘッドブローバイ』☆


【ヘッドブローバイ採用年式のエボリューションエンジン】

それまでクランクケースから排出していたブローバイガスをプッシュロッド内を介してさらにロッカーカバー内部を経由してエンジンヘッドから排出させる仕組みです。ちなみに後続するツインカムエンジンも同構造☆

この仕組みの有用性としては、気体であるブローバイガスを上部に経由させることによりオイルの排出量が抑えらます。



また、このライムグリーンの絆創膏のようなモノが『アンブレラバルブ』と呼ばれ、簡易的な逆止弁となっております☆これはNAGバルブ同様、クランクケース内圧を減圧する目的となっておりますが、NAGバルブと比べると効果は限定的と言えます。その理由は後ほど☆



図の37がアンブレラバルブ



これがアンブレラバルブが取り付けされている場所のフタとなる位置であるロッカーTOPカバーの裏側。組み付け時はガスケットで仕切られ、ここだけ隔離されたルートとして機能します。



ブローバイガスの圧力からアンブレラバルブが浮き、ガスはその隙間から隔離されたルートを通り...



ロッカーカバー内を経由して...



さらにエンジンヘッド内のルートを貫通して...



排出されるワケです。

...ですので、逆に圧力が戻ってくるときはアンブレラバルブが押されて閉じることでエンジン内圧が減圧されるという仕組み☆

こんな構造が当時のハーレーに組み込まれていたことも感慨深くありますが、アンブレラバルブ自体の部品構造やプッシュロッド内を介するという構造上、クランクケース内圧をコントロールするという意味ではやはり限定的です。


【ヘッドブローバイ車輌へのNAGバルブ取り付けにおいても明らかな違いが確認済み】

それは、当店ではNAGバルブ取り付け実績車輌の大半がこのヘッドブローバイ採用後年式車輌であり、そのビフォー&アフターの確かな違いのユーザーインプレションを確実に得ているからです☆


...と、そろそろ今日の主役であるSオーナーの1992年型に話を戻しますが、ヘッドとクランクケース2つのブリーザーを有する車輌のNAGバルブ取り付け、その取り付け方法は一瞬だけ考えさせられましたが、結論としては上下のブリーザーそれぞれを束ねNAGバルブを介して排出させられるように取り付けをいたしました。

ダブルブローバイを有する過渡期にあたる92年式は、クランクケースにブローバイ室を持つという構造上、ブリーザー排出のほぼほぼがクランケースのブリーザーホースから排出されていると考えられますが、ヘッドブローバイの機能が全くのゼロとは言い切れないからです☆


さてさて、ずいぶんお勉強コーナーとなってしまいましたが、まとめると...!

『NAGバルブはヘッドブローバイ車輌全般に対し有効なチューンナップパーツである』

『クランクブローバイ車輌はさらにNAGバルブによる伸びしろが大きい』

『1992年式はクランクブローバイ車輌同様の効果が期待できる』

です☆

つづく

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